杜鵑草 器と、そのまわり hototogisu

【品番#U156】くらわんか鉢 ( KURAWANKA Bowl)

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近頃、少し無理なスケジュールを立てると必ずあとで疲れが残って、それが溜まっているように感じます。
認めたくはないのですが、おそらく年相応ということでしょうか、疲れが取れにくくなっているのだと思います。
 
疲れがとれない、忙しい…と、気が付くとそれを言い訳に食事を適当に済ませることが増えてきて、そして疲れを取るために少しでも多く睡眠時間を取りたい…と早くお布団に入ります。
そうなるとどこかに時間のシワ寄せが来るのですが、それが食事の時間になっています。
 
元々、食べることや作ることが好きな私にとって、この食事の時間が十分にとれなくなることは、気持ちの中でもダメージが残ります。
食べることに関する時間を十分に取れないというのは、栄養が採れないという体の問題と同じくらいに楽しみが奪われるという心の問題にもなってしまいます…。
 
ちょっと昔に「料理セラピー」という言葉を目にしたことがあります。
息子がまだ家にいるときは忙しくても、意識して食事を作って頑張っていたのですが…、
心配事があるときはひたすら野菜を切ることが好きです。子供のこと、体のこと、健康のこと…野菜を切っていると無心になれます。
トントン野菜を切ったりゴシゴシ野菜を洗ったり、色鮮やかな色の野菜を手に取り、お肉やお魚の焼きあがる音やそこから生まれる匂いや香り…私の五感を刺激してくれるので、気持ちがどんどんホッコリ温まってきます。
 
なので今日はよーっし!と重い腰をあげ、五感を目一杯使って料理を作りました。
お料理を作ることで知らず知らずのうちに自分の中のバランスをとっているんでしょうね。
確かに忙しいですが、それはそれでとてもありがたいことだとも思えるようになりました。
 
今回の器はくらわんかの鉢です。
 
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すこしくらわんかのお話を…。江戸時代天下の台所と長言われた大阪。
そのころの大阪は日本の商業の中心で、大阪と京都の伏見を流れる淀川沿いをたくさんの船が行き交ったといわれています。
途中、枚方あたりで休憩して昼食をとりその船で働く人に、茶船で漕ぎ寄せ「飯くらわんか~、酒くらわんか~、銭ないのか~」、「餅喰らえ~、牛蒡汁くらえ~」と掛け声をかけられ売りつけたことから、いつしかこの茶船を「くらわんか船」を呼ぶようになったと言われます。
このくらわんか船で使われた器は「くらわんか茶碗」、「くらわんか鉢」、「くらわんか皿」などと呼び、これらの碗の総称を「くらわんか手」と呼んでいたそうです。これらの碗は船上での器の安定性の高さから高台を広くした形となったようです。
このくらわんか皿は遠く伊万里一帯の焼き物を船に積んで瀬戸内を通って大阪に入ってきたようです。なのでこれらを称して「伊万里もの」と呼ぶようになったともいわれます。
 
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そのような言われのあるくらわんか皿です。
粗野な無骨なものでも安定感もありとても味わい深いのが特徴です。
図柄はどれも手慣れた感じでスピード感のある感じで描かれているせいか、その図柄がのみ込めない場合も少なくありあません。
でもそこがまた最大の魅力で不思議とほっこりと温もりを感じさせてくれます。
最近ではなかなか見ることが少なくなりました。
私はこういう器こそ、その家ならではのおかずが盛られて、器と一緒に家族の様々な思いも盛られていく・・・そして気がつけばずっとこの家族のお茶の間にあり続けているというような。
代々家族で使い継がれていって欲しいなと思います。
 
 
【品番#U156】くらわんか鉢
サイズ:直径:14.0㎝ 高さ:4.0㎝
価 格: 4,500円 (税抜) / 枚 (2枚あり、バラ売り対応可能)