気がつけば11月も中旬にさしかかろうとしています。今年もあと残すところ50日程度となったわけですが、日にちに換算するとこうして時間が経つのは本当にあっという間だな…とちょっと気持ちが焦ってきます。今年のクリスマスやお正月は楽しめる世の中であって欲しいなと願うばかりです。
お店に並ぶお野菜も少しずつ種類が変わってきたように感じます。この時期になると蓮根の収穫期にあたりお店でも掘り立てのレンコンが並びはじます。そこで今週はからし蓮根に挑戦してみました。
からし蓮子といえば熊本となるわけですが、これは全国的に知られていることなんでしょうか?
熊本の郷土料理のひとつに挙げられるからし蓮根。からし蓮根といえばシャキシャキとしたレンコン特有の歯ごたえと、あのツンとくる辛いからさが特徴です。
熊本出身の人はからし蓮根を食べないと帰省した気がしないというのを聞いたことがあります。お正月にはおせち、またお祝いの席では必ずからし蓮根が出てきます。
今回作るにあたって調べてみたところからし蓮根は細川家のお家料理だったというんですが、郷土料理はいつも興味深くて調べれば調べるほどワクワクしてきます。
今から遡ること約四百年前に細川家が肥後五十四万石の太守となって豊前から入国しました。その時に耶馬渓の羅漢寺の玄宅和尚も細川家に従って熊本にやって来ました。
肥後細川家の初代藩主である細川忠利は日頃から体が病弱で、心配した玄宅和尚は「何か栄養のあるものを」と苦心して探していたところ、当時の熊本は沼地が多くいたるところに蓮が繁茂していることに目をつけレンコンには造血効能があることを和漢の書で知り、これを忠利に食べさせようとしました。
しかし忠利は「レンコンは泥の中で育った不浄なもの。」として食さなかったので、「麦味噌の中に和がらしを混ぜ、蓮根の穴につめ、麦粉、空豆粉、卵の黄味を混ぜ合わせた衣をつけ、菜種油で揚げる」というレンコンと分からない料理を作りました。
忠利は口にするとピリッとした辛さも気に入って、常に食し食欲も増してみるみる剛健になられた…というのが「からし蓮根」の由来でした。
また、輪切りにしたれんこんの断面が細川家の家紋、九曜(くよう)の紋に似ている事もあって、忠利は「からし蓮根」の製造方法を秘伝とし明治維新まで門外不出の味だったそうです。これが、今でも「からし蓮根」が全国で唯一熊本県でしかつくられない由縁でもあるということでなるほどと思わず納得です。
本来は味噌(白味噌、麦味噌)と辛子を混ぜ合わせたものを蓮根の穴に詰め込み、黄色の衣にはウコンやクチナシで着色するようでしたが、私はおからと辛子を混ぜ合わせたものに砂糖と塩で味を整えたものを詰め込み、衣の部分は特に色付けはせず少量のねりカラシを混ぜ込みました。
おからに材料を混ぜ合わせたものは蓮根の穴の大きな方から押し回した感じで詰め込みました。詰めたあとは衣をつけて揚げるのですが、この揚げるときが一番苦戦しました。
あとになり詳しく揚げ方を調べてみると、「針金で作られた引っ掛け棒を蓮根に突き刺して油で揚げる。」とありました。私はお箸を使ってみたり、蓮根の端っこをつまんで衣をつけ揚げたので油が跳ねていくつも火傷を作りました。調べ不足で余計なケガをしてしまった訳です…。
また、何度揚げても衣とレンコンの間に隙間ができるので揚げる温度や衣の作り方が悪いのかなと思い、やり直すのですがうまく行きません。それもあとでわかったことですが、そもそも蓮根の皮はむかないのだそうです。
蓮根は切ると糸を引きます。それは山芋などと同様に表面がヌルヌルとしているため衣が絡みにくいということに原因があったようです。他にもいくつかなるほどと思うこともありました。蓮根の切り口を面取りするのだそうです。面取りせず揚げるとそこから空気が入りやすくなってうまく揚がらないというアドバイスも書かれてありました。
全部で15~6本作ったでしょうか、自分自身で納得がいくものはなかなかできませんが、自分で作った揚げたてのからし蓮根はこれまで食べた中で一番美味しかったです。
また今回食べるときにポン酢やソースや醤油など色々なものを試してみましが、不思議なもので九州の刺身醤油というかなり甘い醤油で食べるからし辛子蓮根が最高に相性が良いとも感じました。
ま、何をつけて食べるのかは好みの問題かと思いますが、やはりその土地の調味料を使って食べるのが一番合うんだろうなと感じた今回のからし蓮根でした。
からし蓮根のエピソードで細川家の家紋である「九曜紋」についてもとても興味深く、気になることもあってこのあとも調べてみたいと思います。
今回使った器はねずみと大根の図柄の染付平皿になります。サイズは七寸です。
こちらの器はとても可愛いねずみに大根が描かれています。ねずみはたくさんの子を産むことから繁栄の象徴とされ、大根も特に二股に分かれたものは子孫繁栄や商売繁盛を表すと言われています。他には大根は根付くなどのおめでたい図柄になります。
これらの二つの図柄を組み合わせ、洒落(こじつけかもしれませんが)で「大黒ねずみ(だいこんくうねずみ…)」という言葉もあるくらいです。そんな意味も踏まえお皿を眺めているとストーリーを感じさせてくれる可愛いお皿だなと思います。
骨董の器は図柄に込められた思いや(意味)を知る楽しみのひとつです。
【品番#U192】大黒ねずみ染付七寸皿
サイズ:直径:22.5㎝、 高さ:3.5㎝
価 格: 3,000円 (税込) / 2枚
状 態:良好
備 考:
[Product #U192] Blue and white porcelain flat plate with drawing Luck Rat and Radish
size:(Diameter): approx 22.5cm / (Height): approx 3.5cm
price: ¥3,000/ (Tax included)
stock: 2
condition: favourable condition
note:
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杜鵑草 ~器と、そのまわり~ 於保亜希子